憲法 第1章 天皇

 天皇については、あまり試験にでてきません。

 それでも、条文の知識を問われることはありますので、何度か目を通しておきましょう👀

第1条
 天皇は、日本象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

Point 主権

 現代人からすると、この国の根本ルールである憲法の第1条から、突然、天皇が出てくることに、違和感があるかも知れませんね🤔

 実は、現在の憲法、日本国憲法の前には、大日本帝国憲法が有りましたが、現在の憲法は、この昔の憲法を大きく変えたんだよ、ということなんです!!

 もう、根本から変わっちゃってるんです😯

 憲法は、国のカタチ、国のあり方を表すものなんですが、昔の憲法では、この国で一番偉いのは天皇、ということになっていました。天皇主権です!

 天皇は、統治権の総攬者(ソウランシャ…🤔)とされていました。天皇がこの国の全てを牛耳る、ということです。びっくりですね!!

 ところが、今の憲法、日本国憲法では、これがガラッと変わっているんです。

 天皇は主権者じゃないぞ!象徴だぞ!となりました😯

 なお、このような天皇の象徴という立場から考えて、天皇を相手に、民事裁判刑事裁判を起こすことはできないものとされています。

 さて、話を戻して、今の憲法では、この国で一番偉い人は、天皇じゃなくて、国民、つまり、国民主権となったんです!!

 このように、憲法の第1条では、この国の主権者は、天皇から国民になりましたよー!とダイナミックに✨そしてドラマティックに✨始めているんです😀

 ここで、主権、という言葉には、以下の通り、3つの意味があるとされています。

 1.国家権力そのもの(統治権)
 2.対的な最高独立
 3.対的な最高決定

 主権の3つの意味まで覚えておかなくても、十分に合格できますので、ご安心を😊🎵

第2条
 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

Point 皇室典範

 皇室典範は、昔の憲法では、憲法と同じレベルの法でした😯ホゥ✨✨

 天皇という主権者について規定する法ですから、この国のカタチとして、憲法と同じレベルの扱いなんです。

 それに対して、今の憲法では、皇室典範は、憲法より格下の、法律と同じ扱いになります😯

 天皇に関する事柄は、国会で決めることができるようになったんですね!

 例えば、現在のところ、女性は天皇になれませんが、これは、憲法レベルのルールではなく、国会レベルのルールなんです!

 第1条でみたとおり、天皇は主権者ではなく、象徴という地位になったわけですから、国会が色々と決めていくことになります😊

第3条
 天皇国事に関するすべて行為には、内閣助言承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

Point 内閣の助言と承認

 天皇には、国事行為という様々な仕事があります。

 この仕事の責任は誰が負うのでしょうか🤔

 内閣全て責任を負うので、天皇は一切の責任を負わない、ということになります。

 このように、天皇の責任を丸ごと引き受けるために、内閣助言承認というものが必要とされているんですね😊

第4条
1項 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない
2項 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

Point 国政の権能

 天皇は、国事行為ということで、形式的儀礼的行為だけを担当します。

 天皇には、国政権能、つまり、この国を動かす力は一切ないのです😯

 この国を動かす力は、主権者である国民✨が持っています。

 国民が選挙を通じて、代表者にこの国のハンドルを握らせることになります!

 天皇は、この国のハンドルに触ることができないのです😯

 そして、天皇は、他の国事行為で忙しい、などの場合には、国事行為委任して、よろしくね🖐️✨と任せることができます。

第5条
 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

Point 摂政

 天皇がちょっと忙しいときには委任をすればよいのですが、長期にわたり仕事ができないような場合には、摂政を置くことになります。

 摂政は天皇の代わりになりますので、天皇と同じように、憲法に書いてある国事行為しかできませんし、国政を行うことはできません🙂

第6条
1項 天皇は、国会指名に基いて、内閣総理大臣任命する。
2項 天皇は、内閣指名に基いて、最高裁判所たる裁判官を任命する。

Point 国事行為(任命)

 天皇が行う国事行為の一つとして、重要な国家機関の任命があります。

 もちろん、天皇は、この国を動かす力はありませんので、他の誰かが決めた人に対して、「よろしくね😊頑張ってね。」と言って任命状✉️を渡すだけの行為です。

 天皇任命の前に、具体的に、「この人に任せる!」と決める行為が指名です。

 立法機関である国会が、行政のてっぺん、内閣総理大臣指名します。

 行政機関である内閣が、司法のてっぺん、最高裁判所長官指名します。

 指名された人は、天皇から直接、よろしくね😊と声を掛けてもらえます✨

第7条
 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
 憲法改正法律政令及び条約公布すること。
 国会召集すること。
 衆議院解散すること。
 国会議員総選挙の施行を公示すること。
 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
 栄典を授与すること。
 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
 外国の大使及び公使を接受すること。
 儀式を行ふこと。

Point 国事行為(その他)

一 公布

 憲法改正法律政令及び条約について公布、つまり、国民にお知らせします😊

 法の世界における✨BIGな4つ✨というイメージで覚えておきましょう!

 これ以外は、天皇は公布しません。

 例えば、省令とか規則とか条例とか、天皇は公布しないのです。

二 国会の召集

 天皇が国会召集します🖐

 もちろん、実質的な決定権限は内閣にあります。

 内閣が国会の召集を決定して、天皇が「国会議員の皆さん、集まってください」と言うだけです😀

 ちなみに、「召集」は、天皇が召し集める、ということで、通常の会議の「招集」は、招き集める、ということで、漢字が違いますね👀

三 衆議院の解散

 天皇が衆議院解散します🖐

 もちろん、これも、実質的な決定権限は内閣にあります。

 内閣が衆議院の解散を決定して、天皇が「衆議院の皆さん、さようなら」と言うだけです😀

四 国会議員の総選挙の施行の公示

 ここは、「総選挙✨」がポイントです。

 一般的に、総選挙といえば、衆議院の選挙のことを指し、参議院の選挙は、通常選挙と呼ばれます。

 ただし、ここでいう総選挙は、議院の選挙、議院の選挙、の両方のことをいっています。

 衆議院の選挙のときだけ、天皇が公示して、参議院の選挙のときには、完全無視、っていうのはオカシイですからね😊

五、六、八 認証

 何か、色々と難しいことが書かれていますが、ここでは、認証という表現をしていることだけ押さえておきましょう🎵

 やはり、これらについて、決定するのは内閣です。

 天皇は、すでに決まりきったことに対して、OKです!と言うだけです。

 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除、復権、などの意味は、合格するためには不要な知識となりますので、興味が有れば、ググっておきましょう。

十 儀式

 ここでいう儀式とは、即位の礼、大喪の礼など、国家的性格を有する儀式のことです。

 「天皇杯」のような、スポーツ大会⚽️への出席などは、ここでいう儀式には含まれません。

第8条
 皇室財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

Point 皇室の財産授受

 皇室は、自分たちの財産なのに、自由に、あげたりもらったりできなくて、不便だな、と感じる条文ですが、実は、皇室財産は、皇室の人たちの財産ではないんです😯

 憲法88条に書いてあるんですが、皇室財産は、すべて国有財産なんですね!国のものです。国民みんなのものです。

 国の財産なので、国会の議決によって管理をしていくことは当然なのですが、この第8条でも、皇室の財産の授受について、民主的なコントロールが及ぶことを、念を押すように書いているのです👀

 戦前の反省から、皇室が経済力を持つことで、不当な支配力を高めないようにしているんですね😊